「予防」というと、虫歯や歯周病を防ぐために
予め対策をしておくというイメージがあると思います。

私たちはそのレベルで「予防」を考えていません。
当然と考えているためです。

私たちが考える「予防」は、
健康な状態を創造し、その状態を長期にわたって維持して
頂くことで、日々の生活の質を向上させることを
歯科の側面からサポートすることです。

初めに~虫歯や歯周病によって歯を失うことで生じる「損失」

8020達成者(80歳になっても歯が20本以上残っている方)は、
そうでない方の入院医療費の5分の1しかかかっていないという
事実をご存知でしょうか。

残存指数と医療費の関係 一人当たりの生涯医療費は2,300万円。(うち、半分は70歳位以降の医療費)8020達成者は、70歳以降の入院医療費が5分の1と言われている

また、右のようなデータもあります。

右図は何を表わしていると思いますか?
これは80歳の方に対しての調査で、「歯が20本以上ある方」と「9本以下しかない方(入れ歯もしていない)」で日常生活の自立度を調べたものです。
結果は、「歯が20本以上ある方」の約80%が日常生活を自立して行えており、「9本以下しかない方(入れ歯をしていない)」においては、約20%の方しか日常生活を自立して行えていないことが分かりました。
一般の方は「歯が多く残っているだけで、なんでこんなにも違ってくるの?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、皆様が思われているよりも「歯の健康」は「身体の健康」に密接に関係しています。
しかし、まだ歯の健康に対して不調を感じられていない方には、なかなかこの大切さを理解して頂くことは難しいと感じています。人は実際に経験していないことは想像できませんので。
歯を失った際の不自由さ、入れ歯の不都合さ、噛み合わせがおかしくなることで生じる全身の不調…。
また、歯周病に起因する「脳卒中」「心筋梗塞」「糖尿病」など…。私たちは歯の健康を失うことで、生きることに不自由さを感じている方をたくさん診てきました。そのため、今、お口が健康な方、徐々に健康が崩れてきてしまっているがまだ回復が可能な方に伝えたい。

お口の健康の大切さを。

患者様には何度も「この事実」をお伝えします。そして、皆様には早い段階でこの事実の重要さを理解して頂きたい。そのためにできることは何でも行います。

当院の予防処置の「考え方」そして「体制」

予防処置における当院の考え方、そして具体的に体制をご紹介します。

体制1予防に対しての私たちの想い

治療を終え、お口の中が健康になり、「治療」ではなく、お口の健康維持のための「メンテナンス」に通って頂く。そして、世間話をしながら笑顔で帰って頂く。これが私たちの目指す歯科医院です。
そのためには、治療と共に、お口が悪くなった原因を取り除き、その原因の再発を防ぐようにしなければなりません。再発を防ぐためには「健康な状態を維持し続ける」という歯科医院側の想いのこもったサポート、そして何よりも患者様ご自身がお口の健康に関して意識して頂くことが重要です。当然のことですが、歯科医院でのケアよりもご自宅でのケアの方が、多くの時間を占めますので。これまで長年、歯科医療に携わってきましたが、お口の健康を長く維持されている患者様というのは、歯に対する意識、つまり、歯は生活をする上で非常に重要であると強く認識している方です。歯に対する意識が高ければ、自ずとご自宅でのケアをしっかり行っています。そして皆様、「歯科医院は健康なお口の状態をチェックする場所。普段のブラッシングでは落とせない汚れを定期的に落としに行く場所」と考えていらっしゃいます。歯科医院とは、「歯を治す場所」ですが、一旦治療が終了したら、「歯を守る場所」になるという考え方が大切です。

そのように理解し行動して頂けたら患者様のお口の健康は安泰です。私たちは「歯科医院は歯を守る場所」とご理解頂ける患者様と共に歩みたいと思っています。そしてそのような患者様には「お口の健康を維持させる」「残っている健康な歯を守っていく」という強い想いで末永くお付き合いさせて頂きます。お口の健康を通して、皆様が毎日笑顔で生活できるお手伝いをすること。これが私達歯科医療従事者の「使命」であり「やりがい」です。

体制2科学的根拠に基づいたシステム


当院では効果の実証された科学的根拠に基づく予防システムを行っています。
今や歯科医療も進歩し、「歯周病・虫歯を防ぐためにはどうすればいいのか」、「歯周病・虫歯になってしまった場合どのような処置をすれば改善するのか」などが科学的に実証されており、その通り行えば、歯周病・虫歯も防げますし、また歯周病・虫歯も改善します。
具体的には、まずは各種口腔内検査を行い、それに基づく診断を行います。そして診断結果から治療計画を作成し、歯周基本治療の流れに入っていきます。当院では、このステップをしっかり行っています。その理由をお伝えします。例えば、あなたが急激な腹痛に襲われ病院に行ったとします。医師からはすぐに「手術します」と言われたらどう思いますか?何かが抜けていますよね。そうです、まずは治療に入る前の「検査」と「診断」です。検査・診断結果から原因を探り、どのように対応すべきかが初めて明確になります。場合によっては手術になることもあるかもしれませんが、薬で対応できたり、精神的な問題の解決で済むかもしれません。
しかし、歯科治療であれば、「悪くなった歯を削りますね」と言われても強い違和感を持たれる方は少ないのではないでしょうか。
すぐに削ったり、抜いたりするのではなく、まずは「なぜ虫歯になってしまったのか?そして今後虫歯を防ぐためにはどのような処置をすべきなのか?」を考えなければなりません。このステップが抜けてしまうと、本当の原因がわからずに治療してしまうので、再治療になってしまう可能性が高まります。歯は一度削ってしまうと回復はしません。そして、歯は削れば削るほど弱くなっていきます。
歯を守るためには、治療をする前に「検査・診断」が必要不可欠であり、それを行わない治療は「医療」とは呼べないと考えています。

体制3適切な「ブラッシング指導」とPCR

歯ブラシを比較する論文では歯ブラシの種類で清掃効果はほとんど変わらないと結論づけています。
つまり磨けるか磨けないかは患者様の歯磨きのテクニックにかかっています。
そのため、当院では虫歯・歯周病を予防するための適切なブラッシング方法を皆様にお伝えしております。例えば「バス法」「フォーンズ法」「縦磨き」、フロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具の使い方などです。

ブラッシングはただ磨けばよいというものではありません。多くの方は「磨いた」という事実だけで満足してしまい、肝心の「汚れ」はほとんど落せていないものです。
そのことをしっかりご理解して頂くために、当院ではPCR(プラークコントロールレコード)という取り組みを行っています。これは「染め出し」を行い、プラークコントロールがしっかりできているかを評価するものです。

PCRが0%ならしっかり磨ききれている、100%なら全ての箇所が赤く染まっているということになります。虫歯・歯周病を予防するには「ご自宅のセルフケア」と「歯科医院でのクリーニング」の2つが柱となります。この両輪のどちらか一方が欠けてもNGです。
適切なブラッシング指導、そして補助ツールの「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」の適切な使い方もしっかりとお伝えさせて頂きます。

予防処置の副次的効果-本来の歯の白さに近づけます!!

歯科医院での予防処置では主に歯石・歯垢を除去するのですが、この処置をすることで「本来の歯の白さに近づける!!」という患者様に嬉しい副次的効果があります。
これは歯石などを除去するとともに、ヤニ汚れ、茶渋などの着色も一緒に除去できるためです。
つまり、定期的(2~3ヶ月に1回)にクリーニングに通うことで、虫歯・歯周病予防にもなりますし、歯の白さを維持でき一石二鳥ということです。